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恩讐の彼方に [読書]

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)

  • 作者: 菊池 寛
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1970/12
  • メディア: 文庫
 
大正8年(1919年)1月に発表された菊池寛の短編小説。
主人公の市九郎は、主人である中川の愛人と密通していたことがバレて手打ちになりそうとなる。しかし逆に主人を殺してしまい逃げ出す事になる。
その後、市九郎と一緒に逃げたお弓とともに峠の茶屋を始めるが、実は茶屋に寄った客の懐具合をみて、金持ちならば殺し、その金品を盗む生活を送っていた。ある時そんな生活とお弓に嫌気がさし市九郎は逃げ出す。
その後、後悔の念から出家し旅にでる。難所の岩場を通過する時、事故で亡くなった人を見、懺悔のために、その岩を掘削してトンネルを掘る決心をする。
その後、掘削を始めて19年、敵討ちのために旅に出た中川の息子が、とうとう市九郎を見つけ殺そうとする。素直に殺されようとする市九郎であったが、石工たちはこれを止め、トンネルが開通するまで待つこととなる。
さらに1年6ヶ月が過ぎ去り、とうとうトンネルは開通した。そして殺されようとする市九郎であったが、この時既に、トンネル堀工の仲間となっていた中川の息子は、殺す意思は無くなっており、トンネルが完成した事に一緒に感動し涙を流すのみであった。
前半は、市九郎の残忍さが強調され、ヒドい人間として描かれる。
しかし、無心にトンネル掘削を行う彼の姿から応援する気持ちが芽生えてくる。そんな気持ちを代弁するかのように村人達の気持ちを描いている。そしてトンネル完成を共に喜び涙する気持ちに同調できるようになった
 

山椒大夫 [読書]

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)

  • 作者: 森 鴎外
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫
山椒大夫
父を捜して、母親、姉、弟それと女中の4人による旅から物語ははじまる。とある町で泊まる所がなく仕方がなく橋の下で野宿をしているたところ、優しそうな男が現れ自分のうちに泊めてくれる。
ところが彼に騙され人買いに売られてしまう。そこから兄弟の苦労の物語が始まる。そして姉が命をかけて弟を助け物語は最終章へと進みハッピーエンドとなる。
姉の強さと優しさが印象に残る物語でした。
  

杜子春 [読書]

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/11
  • メディア: 文庫

子供向けの作品らしい。
大切なのはお金ではなく、親を大切に思うやさしい心であること。仙人との約束のなかで教えてくれる作品。


野菊の墓 [読書]

野菊の墓 (新潮文庫)

野菊の墓 (新潮文庫)

  • 作者: 伊藤 左千夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/10
  • メディア: 文庫
伊藤 左千夫(いとう さちお、1864年9月18日(元治元年8月18日) - 1913年(大正2年)7月30日)は日本の歌人、小説家。本名 幸次郎。上総国武射郡殿台村(現在の千葉県山武市)の農家出身。明治法律学校(現・明治大学)中退 Whikipediaより

15歳の少年・政夫と2歳年上の従姉・民子との恋を描いた小説。今でこそ姉さん女房は珍しくない時代だけど、この小説が発表された時代(1906年)には相当な反対があったようで、二人の仲は周りの人達の手で引き離されてしい、不幸な結果となってします。
二人の恋が少しずつ育むまれていく心の様子が、とてもリアルに思われ読み進むうちに幸せになって欲しいと思われてくる。
しかしながら不幸な結果となってしまう。そこまでの二人の気持ち、特に民子の辛さが身につまされ、涙が溢れてしまった。
 

三人の双生児 [読書]

怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)

怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)

  • 作者: 海野 十三
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 文庫
 
海野 十三(うんの じゅうざ又はうんの じゅうぞう、1897年(明治30年)12月26日 - 1949年(昭和24年)5月17日)は、日本の小説家、SF作家、推理作家、漫画家、科学解説家。日本SFの始祖の一人と呼ばれる。本名は佐野 昌一(さの しょういち)。 Wikipedia より

主人公が生まれた時、父親が日記帳に記した「呪われてあれ、今日授かりたる三人の双生児」との文章。
三人の双生児とはどういう意味なのか、主人公がこの疑問を解決するため、別れ別れになってしまった兄弟を探すために、新聞に広告を出した事から起きる事件。
最後は謎解きを含め一気に展開する内容に引き込まれた。
 

十八時の音楽浴 [読書]

十八時の音楽浴

十八時の音楽浴

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版
人類が地上には住めなくなってしまった未来の話。
毎日、十八時に流される音楽、その音響効果により人々は従順になり、ひたすら仕事に励むようになる。
この国を乗っ取ろうと企んだ大臣婦人が、この設備を利用し、発明した研究者を殺害したうえに、この音楽を毎時間流した。その結果人々はろくに動く事が出来ないくらい疲弊してしまう。
そんな時、火星からの侵略者が現れ戦争となるが、対抗できる人々はもういない。そして最後にどんでん返しがある。
独裁政治の恐ろしさ、あるいは間違った政治の行き着くさきの悲劇を実感しました。

生物と無生物のあいだ [読書]

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/05/18
  • メディア: 新書
分子生物学者であり、第1回科学ジャーナリスト賞受賞した福岡伸一氏の著書。
専門的な内容を記述した部分は、専門外のためか難解で読むのに苦労した。
しかし科学者の生態というか、下っ端の博士たちが毎日繰り返し行う退屈な実験や、教授を頂点とした体制に関しての内容は面白く読めた。
研究者であっても、企業と同等かそれ以上の上下関係に苦労しているさまは新鮮な驚きとともに、日本の権威主義がどこまでも浸透している事を実感した。
 

駈込み訴え [読書]


駈込み訴え

駈込み訴え

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版

 

キリストを売ったユダの独白。

心理描写が延々と続く。。。正直途中で飽きてしまった。

 


悪魔の舌 [読書]


村山槐多耽美怪奇全集―伝奇ノ匣〈4〉 (学研M文庫)

村山槐多耽美怪奇全集―伝奇ノ匣〈4〉 (学研M文庫)

  • 作者: 村山 槐多
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 文庫

村山 槐多(むらやま かいた、1896年9月15日 - 1919年2月20日)は日本の洋画家。
悪食の主人公が最後に行き着いたのは人肉。本当に人肉が美味しそうに描写されている。
 

藪の中 [読書]

藪の中 (講談社文庫)

藪の中 (講談社文庫)

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 文庫
これは、黒澤明監督の「羅生門」として映画化された作品。
殺人と強姦という事件をめぐり4人の目撃者と3人の当事者が告白する。しかし告白内容が互いに大きく矛盾しており真相がわからない。
その事件が藪の中で起きたため、関係者の証言からは真相がわからない状況を「藪の中」と言われるようになった。
各自の証言は、状況と照らし合わせて本当らしく語られている、しかし互いの証言は矛盾して、真相が分からなくなっている。

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