恩讐の彼方に [読書]
大正8年(1919年)1月に発表された菊池寛の短編小説。
主人公の市九郎は、主人である中川の愛人と密通していたことがバレて手打ちになりそうとなる。しかし逆に主人を殺してしまい逃げ出す事になる。
その後、市九郎と一緒に逃げたお弓とともに峠の茶屋を始めるが、実は茶屋に寄った客の懐具合をみて、金持ちならば殺し、その金品を盗む生活を送っていた。ある時そんな生活とお弓に嫌気がさし市九郎は逃げ出す。
その後、後悔の念から出家し旅にでる。難所の岩場を通過する時、事故で亡くなった人を見、懺悔のために、その岩を掘削してトンネルを掘る決心をする。
その後、掘削を始めて19年、敵討ちのために旅に出た中川の息子が、とうとう市九郎を見つけ殺そうとする。素直に殺されようとする市九郎であったが、石工たちはこれを止め、トンネルが開通するまで待つこととなる。
さらに1年6ヶ月が過ぎ去り、とうとうトンネルは開通した。そして殺されようとする市九郎であったが、この時既に、トンネル堀工の仲間となっていた中川の息子は、殺す意思は無くなっており、トンネルが完成した事に一緒に感動し涙を流すのみであった。
前半は、市九郎の残忍さが強調され、ヒドい人間として描かれる。
しかし、無心にトンネル掘削を行う彼の姿から応援する気持ちが芽生えてくる。そんな気持ちを代弁するかのように村人達の気持ちを描いている。そしてトンネル完成を共に喜び涙する気持ちに同調できるようになった
山椒大夫 [読書]
杜子春 [読書]
野菊の墓 [読書]
伊藤 左千夫(いとう さちお、1864年9月18日(元治元年8月18日) - 1913年(大正2年)7月30日)は日本の歌人、小説家。本名 幸次郎。上総国武射郡殿台村(現在の千葉県山武市)の農家出身。明治法律学校(現・明治大学)中退 Whikipediaより
15歳の少年・政夫と2歳年上の従姉・民子との恋を描いた小説。今でこそ姉さん女房は珍しくない時代だけど、この小説が発表された時代(1906年)には相当な反対があったようで、二人の仲は周りの人達の手で引き離されてしい、不幸な結果となってします。
二人の恋が少しずつ育むまれていく心の様子が、とてもリアルに思われ読み進むうちに幸せになって欲しいと思われてくる。
しかしながら不幸な結果となってしまう。そこまでの二人の気持ち、特に民子の辛さが身につまされ、涙が溢れてしまった。
三人の双生児 [読書]
怪奇探偵小説傑作選〈5〉海野十三集―三人の双生児 (ちくま文庫)
- 作者: 海野 十三
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/06
- メディア: 文庫
海野 十三(うんの じゅうざ又はうんの じゅうぞう、1897年(明治30年)12月26日 - 1949年(昭和24年)5月17日)は、日本の小説家、SF作家、推理作家、漫画家、科学解説家。日本SFの始祖の一人と呼ばれる。本名は佐野 昌一(さの しょういち)。 Wikipedia より
主人公が生まれた時、父親が日記帳に記した「呪われてあれ、今日授かりたる三人の双生児」との文章。
三人の双生児とはどういう意味なのか、主人公がこの疑問を解決するため、別れ別れになってしまった兄弟を探すために、新聞に広告を出した事から起きる事件。
最後は謎解きを含め一気に展開する内容に引き込まれた。